『光源氏になってはいけない』を読んで [文学について]
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助川幸逸郎氏『光源氏になってはいけない』読了。
面白い。氏は豊穣な学識を誇りながら、誰にでも分かりやすく日本を代表する物語文学を解説している。私にはこのような万人に向けた本を書くことは到底不可能である。私の心の中にはどす黒くも激しい嫉妬の感情が芽生えてきた。従って、悪口を書こうと思う。
私は、源氏物語を原文で読んだことがある。高3の時の古文の教材だったのだ。一年を通して源氏物語を講読した。もちろん、部分的でしかないが。で、改めて思う、今後、源氏物語を読むことはおそらくないであろう、と。やはり源氏物語は好きではない。つまりこの助川氏の本が面白いは、助川氏が面白いのであって、決して源氏物語のおかげでないということだ。
助川氏の文学研究者としての才能は、おそらく氏が得意としておられる手相占いに通じているように思う。氏の解釈は、まるで氏の占いを聞いているかのように面白いとも言える。
その長所はとにかく面白い、ということ。その欠点はその解釈が説得的ではあるが果たして本当にそうだか分からない、ということ。果たしてその解釈が正しいかどうかは別として、読んでいてついつい引き込まれてしまう、それほどまでに面白い。まさに助川氏の才能は、源氏物語にせよ、野球にせよ、相撲にせよ、何らかの題材を基に面白いストーリーを立ち上げることにある。ただ、面白いのと、正しいのは必ずしも一致するわけではないこと問題だ。
対して、私とは言えば、文学研究者ではあるが、そのようなストーリーを立ち上げる能力がほとんどない。というか、そのようなストーリーを紡ぐことに全く興味がない。私には、ストーリーを語ることだけが文学研究だとは思えない。
獣医生命大学で、半年間社会人講座で、ご講義有難うございました。先生の来春、理科大での、ロックの講義大変興味があります。聴講できるでしょうか?ちなみに私は、源氏物語や能も大好きです。
by 池田千代子 (2014-03-04 21:37)
こちらこそありがとうございました。
ただし、野田ですよ。
by 黒木 (2014-03-11 18:01)